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Go With Me
Seapony

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青野圭祐─2011.6.16─


シアトルから期待のインディー・ポップ・アーティストが出てきました。

シアトルと言えば、先のThe Posiesの出身地でもありますが、90年代からNirvanaやPearl Jam、Alice In Chains、Soundgarden、Mudhoneyなどのグランジ・バンドの発祥の場所として著名です。Nirvanaのフロントマン、Kurt Cobainが自殺してしまいグランジが沈静化してしまってからも、Foo FightersやSunny Day Real Estateなどのバンドたちを経て、Death Cab For Cutie、Modest Mouseという2000年代の2大インディー・ロック・バンドを送り出してきた土地としても、注目を集めています。


そんなシアトルの空気に、少しにつかわしくないとも思えるバンドが、このSeapony。

何はともあれ、このデビュー・アルバムの幕開けを飾る清冽な曲、「Dreaming」のPVをご覧下さい。




このアルバムのジャケットのように、降り注ぐ陽光の中で遊ぶ少し濁った楽園的な雰囲気。

このキュートでノイジーなサウンドは、シアトルの先輩バンドたちより、HeavenlyやBelle & Sebastianのような新旧のイギリスのインディー・ポップからの影響を感じられます。でも、それをただアメリカに輸入しただけでなく、Best CoastやThe Pains Of Being Pure At Heartのような、ローファイ(あえて高音質な録音をせずに、アマチュアっぽい雑な音で録ることで「生の感じ」を押し出す手法を言います)さや、ノイジーな空気も兼ね備えている、まさに「夢見心地」になれるような素敵な曲です。


シアトルでは、その濁ってくすんだ感じはあれど、こんなにポップなごった煮を聴かせてくれるアーティストは今までいなかったように感じられます。何より、差し込む光の中、気の置けないあの子と手を繋いで海辺に向けて歩きだすようなキラキラ目映いキュートさとシアトルならではのオルタナティヴのフラストレーション混じりの熱が一緒に詰まっているのが、今までになかった世代を感じさせます。(実はシアトルと同じワシントン州の州都でシアトルの南に位置するオリンピアでは、こういったサウンドの基になるような空気もあったのですが、それでも彼らはシアトルのバンドというのが面白いです)


そんな訳で、シアトルのバンドと言えど「従来のグランジだったりオルタナティヴ・ロックのバンドは、ちょっとキツくて…」なんて方にも是非お薦めしたいファジーなバンドになっております。
例えば、後藤さんからも「屈折しながらキラキラしている」と紹介されていたYuckを聴いてみて、これは!!と感じた方などには、このバンドも是非お薦めさせていただきたいです。


新人のアーティストゆえに、お届けできる映像が少ないのが残念ですが、リンクのmyspaceやこのサイトから「Dreaming」以外の曲を視聴することもできます。アルバム全体としては35分程度のすっきりした内容で気軽に聴けるのも魅力の一つのように思います。


先行きの見えないまま夏を迎えそうな僕たちですが、このSeaponyを聴きながら、夢見心地でシアトルのような北の浜辺を歩いてみるのも素敵な時間な時間になるのではないでしょうか。



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■RECOMMENDER

  • 青野圭祐(2011.6.16)