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EXIST!
[Alexandros]

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古田琴美─2016.11. 8─

 
心の底から待ちわびていた [Alexandros] の 6th アルバム『EXIST!』が遂に発売された。
 
今作『EXIST!』は、[Alexandros] 史上、いや、ROCKシーンに名を刻む「最高傑作」に仕上がったとことに断言する。
 
「EXIST!」トレーラー

例えるなら、各アーティストが渾身の1曲を詰め込んで繰り広げるオムニバスアルバム。つまり、全て色が違う楽曲で、どんなアーティストが演奏しているのだろうな、と聴いてみたら、全て同一アーティストだった、という衝撃。今作『EXIST!』は、前作『ALXD』の続編の様な作品で、特有のジャンルレスなサウンドをより研ぎ澄ませながら、[Alexandros]という真っ直ぐな軸は変わらず存在させている。過去を全て昇華させ、「今」を鳴らしている最高傑作だ。本当に素晴らしい。
 
とにかく1曲目の「ムーンソング」は、スマッシュヒットを記録した「ワタリドリ」を超える傑作だ。
 
「ムーンソング」MV
 
ピアノの旋律が美しすぎる幕開けでメロディアスに始まったかと思えば、ヒップホップ界のバケモノの様なメロディで、つい何分か前までの陶酔状態から即覚醒させられる「kaiju」、更に追い討ちをかけて「Girl A」が続き、ここまででもう既に過去の [Alexandros ]の楽曲からは2段も3段も駆け上がり、もはや日本を超えた世界アーティストまでに成り得るレベルの楽曲を、全曲シングルにしてもおかしくない程のクオリティで惜しむことなく攻めてくる。更に容赦なく快進撃は続き、デジタルハードコアな激しいビートで攻める「Claw」で完全にノックアウト。
 
本当に凄すぎる。
何故ならアルバムを再生してからまだ4曲目だからだ。
 
「Girl A」からのシングルの流れで次のアルバムは”予測不可”になると”予想”していたものの、これほどまでいろんなジャンルの楽曲たちが1つのアルバムに集約され、全て同じアーティストが創っているとは誰も想像出来ない。
 
しかし、それを軽くやってのけるのが、”世界一”を掲げて一心に音楽シーンを駆け上がっている [Alexandros] なのだ。
 
ここまでの楽曲で驚きと興奮が渦巻き、呼吸がままならなかったリスナーもいるだろう。安心して欲しい。5曲目にしてやっと平常心が保てる楽曲の登場だ。ピアノの美しい旋律とVo.Gt 川上洋平の歌声が心を落ち着かせてくれ、アンビエントな夢の世界へと連れて行ってくれる「O2」(正式表記は”2”は小文字表記)。そこからテレビCM曲でもお馴染み「Feel like」という”夢の中の出来事”というコンセプトで創られたMV曲へと繋ぐところはさすがとしか言いようがない。
 
「Feel like」MV
 
続く「Aoyama」はベースとドラムのリズムからスタートする少し大人びたジャズテイストのメロディが心地良い。
少し暗めのバーでこの曲を聴きながらウイスキーでも飲みたい衝動に駆られる。そこで流れる映画はもちろん「ターザン:REBORN」。その劇中で流れる「Nawe,Nawe」で壮大な異国の地へ連れて行かれ「Buzz Off!」でモッシュ&ダイブ炸裂のロックンロールな世界へと舞い戻される。

気付いた方もいると思うが、この「Buzz Off!」という曲は、前作『ALXD』の7曲目に収録されていた「Buzz Off(Interlude)」の続編といったところだろうか。この曲は昨年のツアーではジャズアレンジで演奏されていたのだが、今作に収録されるにあたりロックンロールなアレンジに進化していて、良い意味で裏切られた感満載。キッズのみなさんはライブでぐっちゃぐちゃになるしかないでしょう。

続く「クソッタレな貴様らへ」は、[Alexandros]ファンの方ならニヤけが止まないであろう最高なタイトルと共に、最高なメロディが奏でられている。『ALXD』でいえば「ワンテンポ遅れたMonster ain't dead」から更に進化した楽曲。[Alexandros]を初めて聴く方には、彼等の”魅力”が伝わる1曲です。しかも「Buzz Off!」と「クソッタレな貴様らへ」はレコーディング1発録り。そこの荒々しさも楽しんで欲しい。彼等流パンクなアレンジで最っ高にブッ放しているし、是非”歌詞カード”を見ながら聴いて欲しい2曲です。
 
更に「Swan」、「I want u to love me」とシングル曲が続き、映画主題歌としては「ワタリドリ」、「Nawe,Nawe」に続く3作目。ラブバラード「今まで君が泣いた分取り戻そう」でアルバムはクライマックスへ。こんなストレートな歌詞で心を射抜くピュアなメロディを目の前で歌われたら、男女問わず恋に落ちるのでは?という愛が溢れながらも切ない楽曲。

この作品は映画を観て完成すると思うので、2/25は是非映画館の大画面で彼等の楽曲を堪能することをオススメします。
 
そしてアルバム本編ラストを飾るのは、「NEW WALL」。彼等のアルバムでシングル曲が最後に位置することは初めてなのだが、今作『EXIST!』のラストを飾るにはこの曲しかあり得ないのだ。
 
最後にまた自ら”新しい壁”を創った[ Alexandros]。きっと彼等はこの先もずっと、困難に立ち向かい、ひとつひとつの壁をブチ壊していくのだろう。その意志が、希望が、このラストにこめられている。
 
切なくも儚いこの世の中で、音楽だけを一心に鳴らし、上だけを見て完成させたアルバム『EXIST!』。今作は、[Alexandros]の音楽が”存在する意味”をこの世界に刻む、歴史的な1枚だ。
 
 
最後にもう一度だけ言わせて下さい。
 
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  • 古田琴美(2016.11. 8)