4年ぶり、4枚目のアルバムのリリースが目前に迫ったMy Chemical Romance
太っ腹。マイケミ好きな人も嫌いな人も、この文読む時間くらいは聴いてもいいんでない?
Black Parade」は、 そんな状況を内容とセールスの両面で真正面から寄り切った渾身の1枚だったのです。
このバンドをけなすのは簡単だと思うんですよ。スクリーモの異端児的な出身で、1stアルバムのジャケなんかコマーシャルさのかけらもなかったバンドが、2ndアルバムで思いがけない大大大ブレイクをしてしまう。そのせいで、バックボーンであるハードコア方面からはセルアウトという見かたをされてしまうし、かと言って文系ロック方面からはもちろん相手にされるわけもなく、マスを相手に巨大化せざるを得ないバンドになってしまったわけです。それは”NEVER MIND”後のカート・コバーンであり、”Creep”後のトム・ヨークと同じ状況。それでも、The WHOやピンク・フロイドの力を借りて作った 前作「もちろん、賛否両論あっていいバンドだと思う。良い意味でも悪い意味でも”ポップ過ぎる”から。でも、無視するには勿体ないくらい良い曲を書くバンドである事に間違いはないんです。
今作も、凄いですよ。自分の好みドンズバかと言ったらそうではない。でも、病的なほどのポップさは好みうんぬんを通り越して聴かせてしまう力がある。この圧力は異形と言ってしまってもいいと思う。
最近、一目惚れして買った「天空のビバンドム」というフランスの漫画があるんですけど、これを読んでるとマイケミと同じように”ポップ”という言葉を考えさせられます(http://www.asukashinsha.jp/s/crecy/ )。一コマごとに額に入れて飾ってもいいくらいアート色の強い画で、しかも、1ページごとに色彩がまったく違うしストーリーも難解。それでも、読ませちゃうんです。凄いですよ、この引力。プロレスラー澤宗紀 の言葉を借りるなら「やりすぎぐらいがちょうどいい」という感じです。買ってから、ずーっと眺めてます。高かったけど買ってよかった。
マイケミも、いちいちやりすぎなんです。すべてが過剰なんですよ。でも、それくらい武装しないと”ポップ”という言葉に自身が喰われてしまうんだろうと思う。そしてその武装した状態をルーティーンにするというグラップラー刃牙状態に追い込んで作った
1 アルバムなんだと思う。終盤、特にメロディーのきれいな”Summertime ”から”Destroya ”、その後の”The Kids From Yesterday ”への流れを聴いていると、体を切り取りながらオーディエンスに何かを伝えようとするアンパンマン的な虚無感さえ感じる。でも、切ない”Goodnite, Dr. Death ”(この試聴ではカット)を挟んでの、最後のピアノガレージ”Vampire Money ”でちょっとだけ素ではっちゃける姿が見えてホッとします。