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Comedown Machine
The Strokes

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yabori(BELONG)─2013.3.31─


僕らがストロークスに求める期待値は半端ではない。だから前作の『Angles』は7年も待たされた揚句、なんとも煮え切らない作品だった事は残念であった。そんな折に急遽リリースされた今作には不意を突かれた。というのも『Comedown Machine』はストロークスが120%、原点に回帰したサウンドを鳴らしているのだ。
 
今までの作品のいいとこ取りというのが、このアルバムの感想だ。サウンドの完璧なバランスや、バンドのルーツでもある80's風のテイストやハードなギターリフなど、今までのアルバムのサウンドが駆け抜けていく風通しの良さがある。3rdアルバム以降のストロークスはサウンド的にも、バンドの内情も決して安定していなかった。特に4thアルバムの制作時には、ジュリアンとその他メンバーでスタジオを分けていたほど、険悪なものだったそうだ。しかし、今作はメンバーがこのアルバムの為に一堂に会した。バンドでは当たり前のことだが、それを行うだけでストロークスはとんでもないものを作れるのだ。周り道だったのかもしれないが、彼らが歩んできた道のりは決して間違ってなかったのだろう。
 
『Is This It?』というアルバムは当初レコーディングしたサウンドから、不要なものを極限まで削ぎ落としたものだと言われている。だとしたら削られる前はどんなアルバムだったのだろうか? ここ近年彼らが80年代風のサウンドを追求している所から、もしかしたらこのアルバムに近いものが『Is This It?』の原型になったのではないだろうか。その削られたものに今までの経験値を足したものこそが本作なのかもしれない。色んなジャンルの音楽が混在していた『Angles』と、完璧なバランスの上に成り立っていた『Room On Fire』の真芯を捉えたような出来は、彼らの理想そのものだろう。ストロークスはロック史を変えた1stアルバムを二枚作ってしまったのかもしれない。


 
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