『Is This It?』というアルバムは当初レコーディングしたサウンドから、不要なものを極限まで削ぎ落としたものだと言われている。だとしたら削られる前はどんなアルバムだったのだろうか? ここ近年彼らが80年代風のサウンドを追求している所から、もしかしたらこのアルバムに近いものが『Is This It?』の原型になったのではないだろうか。その削られたものに今までの経験値を足したものこそが本作なのかもしれない。色んなジャンルの音楽が混在していた『Angles』と、完璧なバランスの上に成り立っていた『Room On Fire』の真芯を捉えたような出来は、彼らの理想そのものだろう。ストロークスはロック史を変えた1stアルバムを二枚作ってしまったのかもしれない。