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Bon Iver
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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2011.7.21─


Bon Iver(ボン・イヴェール)ことジャスティン・ヴァーノンのセカンドアルバム。これが素晴らしい。

はっきり言えば、震災以降、どこかリスナーとしては音楽にのめり込めない時期が続いていた。いくつもの苦境や複雑な事情に飲み込まれそうになり、それに抗うのに精一杯だった。音楽に対して明け渡せるこころのキャパシティが限りなく小さくなっていたのだと思う。まだ脱し切ったとは言いがたいけれど、今よりは確実に深い海の中に居た時期があって、今はもう少し浅瀬に這い上がってこれたのだと感じる。

1曲目の“Perth”のギターアルペジオだけで、何かが洗われるような気分だった。涙は出なかったけれど、それに近い感動があった。美しい音だなと思った。それだけで良かった。

オフィシャルからCALGALYのMVを。





彼の所属するVolcano Choir(アルバム『Unmap』は名盤なのでチェック!)のフォークトロニカ的な音像よりも、このプロジェクトではチェンバーロックに近い印象。歌も前に出している。スフィアン・スティーブンスが好きなひとにはストライクだと思う。地名で溢れたトラックタイトルからも連想してしまう。牧歌的でオーセンティックなアメリカを感じるところがフォークに近しい所以だけれど、それだけでは終わらない面白さがある。そして、前述したように美しさが何よりもある。その美しさの中の哀愁、郷愁というような手触りが、今の自分にハマった。


オフィシャルHPには来日の予定が書いていないのですが、日本に来てもらえたら嬉しい。Volcano Choirはしっかりと見逃したので、生で聴いてみたい。

優れた音源もまた格別ですが、追体験できないライブの有り難みを、最近では強く感じるようになった。「ライブ」って名前がついてるものなって。生きたい。生きていることを実感したい。音楽が実際に鳴り響く場所には、それが満ちている。

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