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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2015.10.14─


アメリカはフィラデルフィア出身のSSW、カート・ヴァイルの新作。兎にも角にも、「PRETTY PIMPIN」のビデオを観てすぐにLPを購入しました。だってもう無茶苦茶好きな感じだったので。




レイナード・スキナードみたいなアルペジオのギターリフが良いですよね。ほとんど、そのひとつのアイデアの抜き差しで最後まで押し切ってしまう。こういう曲は退屈だと感じる人には耐えられないと思うんですけれども、良いなぁと思ってしまえば沼のようにハマってしまうんですよね。アメリカのフォークやカントリー、ブルーズの血が入った音楽は大概に単調で、独特の土臭さがあって、あまり日本で受けている印象がないんですが...。逆に、そういった部分が魅力でもあるので、とても好きだという熱狂的な人もちゃんといるんですけれど。

なんとか来日公演が成立するくらいには支持者が増えて欲しいものです。日本での所属レーベルのホステスがやっているイベント『クラブ・ウィークエンダー』で呼んでくれたら最高ですね。とはいえ、こういう音楽を聴くのが一部の洋楽マニアだけになってしまうのはちょっと悲しいように思います。

それでも、僕が高校生のときくらいの音楽の聴き方や好みだったら、「全部同じ」って言ってしまったかもしれません。やっぱり、差異に気がつく能力っていうのは、ある程度音楽を好きになって、いろいろ聴き込んでみたりすると、突然扉が開くんですよね。とても不思議なんですが。そういうのが早いひともいれば、僕みたいに高校を卒業してからいろいろな音楽が好きになる人間もいるので、個人差とか、興味や環境によっても差があると思うのですけれど。例えば、僕は未だにヘヴィメタル全般の差異を感じる能力が、こういう音楽に比べて著しく低いですし。好きじゃないものは聴こえないっていう...。笑。

余談はこれくらいにします。

さて、今回も歌詞を和訳してみました。大概、なんか自虐的というか、どうにもならない感じを歌っているような気がします。退廃的というか。例によって、僕の訳が正しいのかどうかという問題があるのですが...。



『PRETTY PIMPIN』 訳・Gotch

朝起きたら誰だか分からないヤツが鏡の前に立っていて
それから俺は笑いながら言った
愚かな俺よ まったくもって俺だ
それで俺は知らないヤツの歯磨きに取りかかって
(それは俺の歯なんだけど)俺は無重力状態で
窓からトイレに入ってきた木の葉みたいに震えた
一体どういうことかなんて君に伝えようがないんだ
でもそれは月曜で火曜じゃなくて
水曜でも木曜でも金曜でもなくて
そして土曜がやってきて俺はこう言った
バスルームのシンクを塞いでいるこの愚かな道化師は誰だ?って
 
生きているうちに何者かになりたいってのがヤツの望む全てだった
「厄介者みたいに生きて、俺は人生を楽しみたいだけなんだ」みたいにさ
俺は1000マイルも離れた場所にだって行けるけど、さっき言った通りなんだ
 
朝起きたら誰だか分からないヤツが鏡の前に立っていて
それから俺は笑いながら言った
愚かな俺よ まったくもって俺だ
それで俺は知らないヤツの髪を梳かしにかかった
(こんな髪型にしたことない)一体どういうことかなんて君に伝えようがない
だってそれは月曜で
火曜じゃなくて
水曜でも木曜でも金曜でもない
そして土曜がやってきて俺はこう言った
バスルームのシンクを塞いでいるこの愚かな道化師は誰だ?って
でもヤツは全身に俺の服を身につけていて
俺は「まったくオマエは」と言うしかなかったんだ
 
ヤツは男らしくありたかっただけなんだ でもヤツはいつも
一瞬正気を失うくらい可愛いかった
俺は1000マイルも向こうに行くことだってできるけど、オマエの顔の前にまだ突っ立ってる
 
今朝 ヤツが起きると知らないガキが鏡の前に立っていて
それでヤツは笑いながら言った
愚かな俺 まったくもって俺
それから知らないヤツの歯磨きに取りかかって
(でもそれは俺の歯なんだけど)俺は無重力状態で
窓からトイレに入ってきた木の葉みたいに震えた



全然ダメじゃん、って感じですよね。音楽だけ聴いたら自然と身体がゆらゆらしてくるのに、歌詞が暗い。こういう相反する要素が同時に成立するところが音楽の面白いところですけれど、これをアメリカ人たち(ネイティブな英語話者)がどんな気分で家で聴いてるのか、とても不思議に思います。日本だったら、こういう歌詞の内容の曲を誰かがミュージックステーションで演奏する絵面が想像できないですものね。

でも、演歌とか昭和の歌謡曲って結構暗い曲ありましたよね。そういう意味では、通じる部分もあるのでしょうか。

アルバムはオススメです。こちらも年間10枚の候補。


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  • 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)(2015.10.14)