INTERVIEW
2020年ベストアルバム
2020年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
木下 貴博 (99Letters)
「Parallel」 - Four Tet
全10曲入り70分の壮大なFour Tetワールドを全開にした今作は12月のこの段階で急遽リリースとなり様々な人が驚きと喜びに満ちているのではないかと思う。数々のアーティストとコラボし、リミックスを提供してきた彼だからこそここに来てよりシンプルな作品になっています。Beatやドラム、シンセの音どれを取っても今の彼だからしかできない曲。
削ぎ落とされたすべてのサウンドが心地よい。
「Nazaré」 - Molecule
今自分が映像と音楽をリンクさせる一人の標になった存在のMolecule。様々な場所に自身で航海をし、そこで自然や空気、海の音などをサンプルし自身の曲でもそのサウンドを航海させる。このアルバムはDopeとしかいいようがない。
「Standalone Complex #1 - Live at Inasound Paris」 - NSDOS
Molecule同様に過去2枚のアルバムでアラスカで自然の音を再生、作り上げてきたNSDOS。デザインとサウンドとダンスを表現者として作り上げるクリエイティブさはリスペクトしかない。彼のような心意気をもつプロデューサーや表現者はこの先も指を数える程度しかないだろうと感じる一枚。今作ではライブレコーディングにはなっているが、そこがまた良すぎる。何度も聞いた一枚。
「Hypnotherapy」 - nthng
自分が海外からリリースを重ねてきた中で親交のあるnthngの新作。もちろんLobster Thereminからリリースされ初期のアンビエントなロウサウンドが心地よい。冒頭の50Flowerでは時折発せられるHipHopなボーカルヴォイスのサンプルがアクセントになっていたり、これから始まるアルバムのワクワク感がたまらない。
「2019」 - Andrew Applepie
あえて2020年のリリースからではなく2019のこのアルバムを選曲。映像クリエイターとして今年は音楽と映像をリンクさせるために様々な撮影をしてきたが、彼を一躍有名にさせたのは世界一のYoutuberCasey Neistatが彼の曲をBGMに使用していたのもあるのかもしれない。今作でも彼らしいFunkでPopなサウンドが聴いている人を楽しませてくれる作品になっている。
「五七五七七」 - Hoshina Anniversary
スイートでラブリーなシンセかと思いきや、アグレッシブで心臓をえぐるようなサウンドを入れてくるところがさすが。すべてにおいて変態なサウンドを追求していて聞いていて面白すぎて、勉強になる一枚。
こういうサウンドが日本でもあふれかえったらいいのにと思う。
「33lake Smoother」 - 99letters
2018年リリースの自分の作品。今年から新たなスタイルとして曲を作っている中で聴きかえすことが多かったのでランク入りに。いろんな意味で自分のこれまでの集大成にもなっていたのでまだ聞いていない人には聞いてほしいアルバム。
「Wildfire」 - Rootkit
大体聞いているのがVinylメインにもなるので探していたけどこれも聞いていたなということでこちらを選曲。
映像を作る際に最も重要なBGMに関して今年はたくさん聞かせていただきました。あのSam Kolderの映像でもかかっていたりする。映像とリンクされて頭の中であがる一曲。
「Scenes and Sketches from the Lab」 - Scntst
彼が登場してからインスピレーションが生まれてくるSCNTSTのこの一枚。アンビエントとは?テクノとは?と音楽の概念を考えさせられる魔法のようなアルバムだと感じています。昔のアルバムだが今聴いても新鮮で未来のようなサウンド。今年もよく聞きました。
「ZNS」 - SDEM
おそらくだがTimの別名義の作品なのかと思う。自身が所属しているSEAGRAVEの今年リリースされた作品の中でもよく聞いたSDEMのアルバム。カセットテープで手に入れたいと思わせる不思議でダークな中にもリズム感が半端なく気持ち良い。来年はレーベル作品をより聞く機会になるのではと感じている。
木下 貴博(99Letters)
BIO
大阪在住のDJ/プロデューサーの99LettersはTakahiro Kinoshitaのソロプロジェクト。これまで海外のVinyl・カセットレーベルを中心にEPをリリースしてきた。2015年は、Serie Limitee Recordsより"Serie Limitee Hors-Serie 005 EP"、SEAGRAVEから"12Mirrors Album"をリリース。2016年にはDalmata Danielより"Untold Future EP"をリリースした。 インダストリアルでドローンな作風から、温かみのあるシンセとややサイケでなんとも心地よいハウストラックは、幅広いロウサウンド・テクノファンにもサポートされる。 2018年には過去リリースされた "Lazer Beam"を、Len Fakiが自身のレーベル"LF RMX"に収録し、Lazer Beam (Len Faki Hardspace Mix)としてリリース。Dubfire、Adam Beyerがフェスでプレイをする等話題になる。
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