INTERVIEW
2016年ベストアルバム
2016年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
柴山順次 (2YOU MAGAZINE / ONE BY ONE RECORDS) が選ぶ2016年 ベストアルバム
ナードマグネット
American Football
さよならパリス
6EYES
OLEDICKFOGGY
DESCENDENTS
GEZAN
ましまろ
CHAI
2016年も音楽にワクワクしたりドキドキしたり時には泣いたり怒ったりしながらなんだかんだ楽しい毎日を過ごさせて頂きました。10枚に選ぶのはとても困難でしたが年間通して常に僕の車に積んであったスタメン達を挙げました。本当はジャンル別で10枚選びたいのですがそれはまた何処かでお会いしたときにご飯でも食べながら。
① ATATA / JOY
活動スタイルから音楽の届け方まで既存の枠組を取っ払い新しい価値観を提示するATATAが鳴らす音楽は音そのものが喜んでいるような爆発力を持っていて「Song Of Joy」を聴くと喜怒哀楽の全てを超越した感情が全身から溢れ出し気付いたら号泣しています。アイデアたっぷり、やり方ばっちり。やる事なす事気になって仕方ないです。アルバムを「The Next Page」というタイトルで締めるセンスも最高。
② ナードマグネット / CRAZY, STUPID, LOVE
死ぬまで解けない恋の呪いにかかってしまったんじゃないかと思うほど、今年は『CRAZY, STUPID, LOVE』を夢中で聴きまくりました。パワーポップからの影響をここまで見事に消化されたら無条件でキュンキュンしてしまいますし、日本語で歌ってこんなにもWEEZERを体現しているバンドって中々いないと思います。アルバムに綴られた情けない恋の歌にも冴えない僕は共感しまくり。ああ恋したい。
③ American Football / American Football
まさか17年経ってアメフトの新作が聴けるなんて。1999年の1stアルバムは当時大学生だった僕の「速い音楽が正義」だった価値観を優しく暖かく壊してくれたのですが、そんな淡い思い出がフラッシュバックするようなエバーグリーンなアルペジオとイノセントなメロディに時を越えまたもやセンチメンタルな気持ちにさせられています。なにがグッとくるかって17年経って1stのジャケットの家の中に今作のジャケットで入っていること。
④ さよならパリス / I LOVE YOU TILL I DIE
大袈裟に聞こえるかもしれないですが、さよならパリスの『I LOVE YOU TILL I DIE』は2ピースバンドというミニマムな体制での表現方法の新しい可能性を示した作品だと思います。音楽、映画、小説、人物、あらゆるカルチャー、思想など、2人が触れてきたものを惜し気もなく落とし込んだサウンドは、ハードコア、パンク、オルタナ、ミクスチャー、グランジ、シューゲイザーといった様々な表情で具現化されていてそれが本当に痛快。「やりたいこと全部やったらこうなった!」みたいな二郎系アルバム。
⑤ 6EYES / TABLE
名古屋インディーシーンのリヴィングレジェンド6EYESのアルバム『TABLE』の中毒性といったら。このアルバムを聴かないで去年までどうやって過ごしていたんだろうってレベル。鳴り方、在り方、歌い方、嫉妬するほど全てがセクシー。僕はもうとにかく「パーティーの後は真顔でどれだけ無理したか思い出しながら帰る」という一節に胸を突き抜かれました。呂不カルマを迎えての「BANG BANG」もひたすらかっこいい。孫悟空とピッコロが手を組んだとき以上の衝撃。
⑥ OLEDICKFOGGY / グッド・バイ
価値観だったり常識だったりセオリーだったり、生きてきた中でなんとなく身についているルールや決まり事にグッド・バイすることが新しい世界の扉を開けることなんじゃないか。このアルバムを聴くとそんなことを考えさせられます。フォークもラスティックも飲み込んでもはやOLEDICKFOGGYとしか形容できない完全オリジナルサウンドに達した彼らの音楽は僕にとって希望です。
⑦ DESCENDENTS / HYPERCAFFIUM SPAZZINAT
まさか12年経ってDESCENDENTSの新作が聴けるなんて。ってさきも同じようなことを書いた気がしますがDESCENDENTSがまさかの来日に続き新譜まで作るなんて思ってもいなかったです。DESCENDENTSというバンドは今まで色んなことをやってきたバンドですがその全てが集約されたような印象もあり、更に年齢を重ねたことで深みもましている気がしました。リフ健在、メロディ健在、DESCENDENTSのつんのめったメロディックパンクが大好きです。
⑧ GEZAN / NEVER END ROLL
こんなにも美しいアルバムを僕は知らない。2016年のGEZANを象徴するアルバム『NEVER END ROLL』はメンバー脱退、活動休止目前にリリースされたにも関わらず僕には希望に満ちた作品に感じました。これまでのアルバムではなくこれからのアルバムというか。赤が青になりまた新しい赤になるような。何処か祈りのような音楽達が強く強く鳴っている姿はとてつもなく綺麗。
⑨ ましまろ / ましまろに
今年の夏に訪れた個人的ネオアコブーム再来のきっかけとなったのがましまろの『ましまろに』。夏の始まりでもなく夏真っ最中でもなく、夏の終わりを感じさせるこのアルバムはマーシーさんのソロアルバム『夏のぬけがら』に並び今後毎年9月1日に聴くアルバムになりました。肩の力を抜いてビールでも飲みながらベランダで聴きたい作品。
⑩ CHAI / ほったらかシリーズ
「NEO ニュー・エキサイト・オンナバンド」という言葉の意味はよく分からないがとにかく凄そうなキャッチコピーを掲げるCHAIのその訳を裏付けるとんでもなくネオいアルバム『ほったらかシリーズ』を初めて聴いたときの僕の感想は「!!!!!!!」でした。多国籍感と無国籍感が同居した楽曲は予測不可能過ぎて目隠しで歩いているみたい。CDでも充分トベますがライブや映像で観るCHAIが絶対お薦め。
柴山順次 (2YOU MAGAZINE / ONE BY ONE RECORDS)
WEB
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Twitter
https://twitter.com/ONEBYONE_2YOU
BIO
2YOU MAGAZINE編集長
ONE BY ONE RECORDS代表
某レコード店でのバイヤー業務を経て現在は音楽ライター/インディーズレーベルオーナーとして名古屋にて活動。2017年には2YOU MAGAZINE、ONE BY ONE RECORDSともに10周年を迎える。
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