INTERVIEW
9月8日・新代田FEVERからスタートしたASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2010-2011「VIBRATION OF THE MUSIC」は、来年の3月まで続く計75公演。このツアーは、サポートキーボードとして金澤ダイスケ(フジファブリック)が参加している。ツアーも始まったばかりだが、早くもアジカンの楽曲を彩り豊かに演出してくれている金澤。そんな金澤がどんなミュージシャンでキーボーディストなのかをあらためて探るべく、金澤のルーツとなるCDを挙げてもらい後藤正文との音楽対談を、ツアー5本目を終えた長野の打ち上げ会場で行った。リラックスした雰囲気の中、金澤参加の経緯から金澤の音楽的変遷、今後のツアーの話まで興味深い話が飛び出した。
(司会・文・構成/only in deams編集部)
――ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2010-2011「VIBRATION OF THE MUSIC」、75本中の5本が終わりました。実際ツアーでアジカンとプレイしてみての感想は?
金澤ダイスケ 「単純にライブが楽しいっていうのが、一番いいことですね。僕は、他のバンドのサポートをあんまりやったことがないので、やっと慣れてきて感じがつかめているところです」
――後藤さんは、ツアー初日のFEVERのライブ中に、金澤さんと一緒に音を奏でライブをして、何度も鳥肌が立つ瞬間があるとMCでおっしゃっていましたね。
後藤正文 「歌に集中できるのがいいですね。どうしても、4人でやっている以上、ボーカルなんだけど、気を遣わなきゃいけないところがこれまでたくさんあって。同期も僕が作って僕が再生している時もあったし。そういうことに対していっさいの負担がなくなったから、とても音楽的になれるというか。だから、羽が生えたように、いろんなことが出来てすごく助かってますね。実際、鍵盤を入れてレコーディングしたものもライブで実現できて、その喜びを感じていますね。とても楽しい」
――後藤さんは、金澤さんの鍵盤で衝撃を受けたエピソードがあるそうですね?
後藤「オダギリジョーの出ている映画『スクラップへブン』を観に行って、エンディングでフジファブリックの『蜃気楼』って曲が流れて、映画に合った不穏な曲だなって思って聴いていて。そしたら、その『蜃気楼』のアウトロで、ものすごいピアノ・ソロが始まって、それがすごい印象的で」
金澤「あの映画観た後、すごいどよーんとするよね(笑)」
後藤「このフジファブリックの鍵盤の人すごいなって思った、直感なんだけど。そう思って、映画のことより印象に残ったんだよね(笑)。この人と一回一緒にやってみたいなと思った」
茜色の夕日
フジファブリック
――『蜃気楼』は、2005年リリースのシングル『茜色の夕日』のカップリングですよね。今日、そのCDを持ってきてみました。
後藤「そうそう、このCD。僕、その映画観た後、このCD買ったよ」
金澤「すみません(笑)、ありがとうございます!」
後藤「ジャケットは、ビートルズの『アビイ・ロード』のパロディだよね」
金澤「そうそう、よくわかったね!?」
後藤「音楽を普通に好きだったら、わかるよ(笑)。ジャケットで、4人の先頭を歩いてるのが、金澤君だよね?」
金澤「そう、先頭を歩いてるのが僕です」
――『蜃気楼』のアウトロのピアノは確かにすごい独創的ですよね。あれはピアノ1本ですか?
金澤「ピアノ1本です。あの曲は、アルバムに入らないですからね、入れどころがなくて」
後藤「ちょっとね、暗いよね(笑)」
金澤「そう、暗いね(笑)」
――アジカンのデビューが2003年、フジファブリックのデビューが2004年で、近い時期にデビューしていますが、これまで意外と対バンなどしてないですよね?
後藤「でも、インディーズのころとか何回か対バンしてたと思うよ」
――金澤さん加入前ですか?
金澤「加入してからも、新宿リキッドルームで対バンしましたね」
後藤「あんまり話した記憶はないね」
金澤「ライジング(「RISING SUN ROCK FESTIVAL」)の時に、軽く挨拶したくらいで」
後藤「そうだったね。アジカンの『ブラックアウト』を、変な曲でいいって褒められて。いや、フジファブリックの方が、変態っぽい曲だねって話した記憶がある(笑)。志村君とかもライブハウスとかで、いろんな人に話しかけるタイプの人じゃなかったし、フジファブリックとちゃんと話す機会がなかったんだよね」
金澤「そうなんですよね」
後藤「僕らもあんまり人懐っこいバンドじゃないから(笑)」
金澤「お互いそういうバンドだったんでしょうね」
後藤「我が道を行くみたいなね」
――アジカンの6月にリリースしたニュー・アルバム『マジックディスク』は、鍵盤もアレンジされた楽曲もあって、今回のツアーは鍵盤無くしては成立しづらい部分もあったかと思うんですけど、まず金澤さんを迎えたいと思ったのは?
後藤「金澤君とやりたいとは結構前からずっと思っていて。フジファブリックが忙しくない時期があったら、1曲くらい弾いてもらえないかなと思ってたんだよね。単純に、フジファブリックいいなって羨ましいなって思ってて。フジファブリックの曲って、変態チックっていうか、アンサンブルが変わっていて。すごく、音楽的に見えていたから」
――今回のツアーに鍵盤を入れたいと考えると、真っ先に金澤さんの名前が候補で挙がっていたんですね。
後藤「鍵盤を入れてツアーを廻るんだったら、第一候補でお願いしたいなと思って。でも、バンドがあるからどうかなって思ってたけど。まぁ、さすがに75本のツアーとは思ってなかったよね?」
金澤「最初、秋のツアーって聞いてたから、受けてたんだけど。よくよく聞いたら、75本で、すげえなって思って(笑)」
後藤「鬼だよね(笑)」
金澤「75本とかやったことないし、やったことないことはやってみたいし。75本の先に、何かがあるんだろうなって思って。75本あるから、その期間にいい意味でいろんな僕の効果が出せて、バンドがもっといい方に変わっていったらいいなと思って」
――まだ5本を終えたところですが、ライブを見させていただいて、すでにこれまでと違ったアジカンの一面が見えていると感じましたよ。
後藤「金澤君は、視点としてももの凄く内側から見ているわけではないから客観視もしてくれてるし、音楽的な素養もあるから。僕が言わんとしていることを、僕が言うよりも金澤君が言った方が、メンバーに響くこともあると思うし。金澤君とやってみたら、見えてることも広いんだなって思ったし」
――金澤さんが、潤滑油になってくれている感じですよね。
後藤「もうすでになってくれてる気がする」
金澤「まだ始まって5本ですから、まだまだですね。あと70本あるから、小出しにね(笑)」
――アジカンのツアーも始まったばかりですので、今日は、金澤さんがどんなミュージシャンでありキーボーディストであるかを、ルーツを辿りながら今一度紹介させていただきたく、いろいろなお題の元、CDを挙げていただきました。
後藤「今日の主役は金澤君だね、よろしくお願いします!」 金澤「よろしくお願いします!」
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